RTD(レディ・トゥ・ドリンク)

鮮度の低い話で恐縮ですが、去年(2023年)の11月10日に東京は豊洲のバーベキュー場にてあるイベントがありました。ワイルドターキーハイボール缶の発売開始に合わせたウィスキーセミナーです。



あいにくの雨模様でしたが、最近のバーベキューは全天候型で1週間も前から天気予報に一喜一憂する必要はないようです。ファミリーマート限定で販売することもあって、ファミマ関係者の歴々が正面に構えていらっしゃいました。内容はと言えば過去に何度か受けた「ワイルドターキー」の基礎知識のレクチャー、オリジナルのボトルスタンドの制作、商品の試飲、そしてCTスピリッツスタッフの方が焼いてくれるBBQ。試飲に関しては12年を含むラインナップが(感じ悪い言い方だけど)ノミホーダイ。もちろん私と元スタッフのお嬢は礼節を保った飲み方で楽しんで来ましたよ。

ところでタイトルのRTD(レディー・トゥ・ドリンク)の話ですがこれは昨今の飲酒スタイルの一つです。缶チューハイを例にあげると解りやすいでしょう。「プシュッ」とやってそのまま飲む。あるいは氷を入れたグラスに注いで飲む。まぁその程度の手間でヤル飲み方の事です。



バーボンだけに関して言えば四半世紀以上前に「河内屋」がレモンとライムのジャックダニエルコーラを販売していた記憶があるので特に目新しいスタイルではありません。なんでも全米のジャックダニエルの7割だか8割はコーラで割られて飲まれているという記事を読んだことがあります。

日本の市場におけるバーボンウィスキーのRTDはまず先発で「ジムビーム」がハイボールの販売を始めれば「ジャックダニエル」がコカ・コーラ割り(俗に言うコークハイ、矢沢永吉氏バージョンだとウィスキー・コークですね)が続き、さらに「ワイルド・ターキー」もハイボール缶を発売。これでひと段落かと思ったらさらに追い打ちをかける様に「ジムビーム」が期間限定で「レモネード・ハイボール」「アイスティー・ハイボール」「アップル・ハイボール」「コーラ・ハイボール」と次々に発売(現在は製造終了)。2024年5月からは「ピーチ・ハイボール」がリリースされるようですね。

もうこれだけ聞くと私なんかは「アップル」やら「ゴールデングレープ」やら「メロン」やらを出した昭和の名炭酸飲料「ファンタ」が頭の中でぐるぐる回りますわ。

いずれにしても各社ともRTDスタイルでのバーボンウイスキーの販売を促進させようとしているのは間違いないでしょう。



しかし、ここで一つ大事なのはジムビームのハイボール缶はジムビームというバーボンのハイボールではないと言う事です。原材料にスピリッツ、とありますし、口上もウィスキー(アメリカ製造)ジムビーム原酒の量を増やしたとの記述があります。ジムビームを使ったバーボンカクテルであるというのが正直な所でしょう。
バーボン・ハイボールよりさらに飲みやすいのはウィスキー初心者には有難いでしょうね。


もう一つ「ワイルド・ターキー」ですがこちらは本物志向のウィスキーハイボールです。使っているバーボンこそ8年101proofではないと聞いていますが、まぎれもないバーボンソーダです。



ちょっと前に「Alexandoros」と言うロックバンドの川上洋平氏が持っていた「おと、をかし」と言うラジオ番組がありました。その番組の中でお便りに答えるシーンでこんなやり取りがあったと聞きました。

「川上さんはどんな時にウィスキーを飲むんですか?」

「ツアーやライブの後のリラックスした時間にレモンを絞ったソーダ割りを飲むんだ」

私が直接聞いた電波ではないですが、お客様が偶然聞いた話として教えて下さいました。私的にはレモンのツイストはNGですがこれも「現代風」なのでしょう。そう言えば彼、某バーボンウィスキーのCMに出てましたね。


ワイルドターキーセミナーにて、蒸留所最高責任者エディ・ラッセル氏(左)とご子息のブルース・ラッセル氏(右)と共に。