思い出の1本

先日常連のIさんから唐突に映画の話を振られた。

映画のタイトルは「キングスマン:ゴールデン・サークル」

びっくりしたのはその映画は私も先週見たばかりだったからだ。

「マスタ-僕、いつかこんな店でスーツを作りたいんですよ」

話を続ける彼の顔を見ながら思い出していたのはその映画に出てくる

バーボンウィスキー「オールドフォレスター」だった。

ご覧になった方ならご存知だろうがこの映画はイギリスのあるちょーほー機関が

世界へーわのために活躍する、まぁそんなアクション映画である。

モデルになったのはロンドンに実在するスーツの仕立て屋「ハンツマン&サンズ」だが

この項には関係ないので割愛する。

オールドフォレスターはブラウンフォーマン社のバーボンで「ジャックダニエル」に続く同社の看板ブランドだ。

個人的に思い入れのあるこのバーボンは輸入された当時「I・Wハーパー」と皮肉にも同価格帯だった。

シェンレー社のハーパー,ブラウンフォーマン社のフォレスター

両雄並び立たずとはよく言うが、六本木に事務所を持ち

極東支配人M氏を置いたシェンレー社のハーパーの販売戦略が功を奏したのだろう。

のちに「オールドフォレスター」は日本の市場から姿を消す。

話を戻すが、前述した私の思い入れとは今は亡き私の父の愛飲していた1本だった事だ。

ボトル左右に縦のディンプルがあり手になじみ、持ち安いデザインだった。

のちに「ボンデッド」が追加販売されるが、ボトル詰めに

で販売することにより信頼性を勝ち得たバーボン市場初のボトルインウィスキーだった。

1870年に創設されたブラウンフォーマン社で1874年に作り始められた

「オールドフォレスター」はそのセールストーク「There is nothing better in the market」

(市場にこれに勝るものなし)に恥じぬ商品としてガラス瓶での販売を始める。

当時のバーボンは樽で売られていて封印されていなかったため

中身が粗悪品とすり替えられる事が珍しくなかった。

そこでブラウンフォーマン創業者、ジョージ・ガーヴィン・ブラウンは工場でビン詰めし、固く栓をするという方法

を思い付いたのだ。

しかし1870年代のガラス瓶はかなり高価であり「オールドフォレスター」自体の高価になってしまう。

それでも自分の作ったウィスキー品質を守りたかったブラウンフォーマンは1874年に初の

瓶詰ウィスキーとして発売、その信頼性は高く評価され、他社もその潮流にはあらがえず、世のバーボンは瓶詰が 

主流となっていった。

話が脇道にそれた。

「ステイツマン」と冠したそのボトルは2017年に公開された「キングスマン:ゴールデン・サークル」に

ブラウンフォーマン現社長キャンベル・ブラウンと共に登場する。

作中ではスクエアボトルだが実際リリースされたのは750MLのレギュラーボトルで

4~6年の原酒をミングリングして95プルーフに仕上げている。

ちなみに作中の味方のブルウィップ(牛追い鞭)使い「テキーラ」が着用している

ベルトのバックルは商品化されている。(写真右側)

現在「オールドフォレスター」は正規輸入の話を聞いてないが、これだけのブランドである

近々にどこかがエージェント契約を結んでくれたなら嬉しい。

*参照

サントリー株式会社

ブランドストーリー「OLD FORESTER」より